答えさせてちょーだい
私:
では次です。答えさせてちょーだいのコーナー。
小早川:
はい。
私:
このコーナーは、リスナーの皆さんの抱えるお悩みや疑問などを、曜日ごとにそれぞれ
パートナーの先生と私の独断と偏見で勝手にこたえちゃおうという内容です。
そして今日の先生ですが、沖ノ鳥島においては右に出るものなし、小早川篤弘先生にお
越し頂いています。よろしくお願いいたします。
小早川:
はい。
私:
さっそく一通目の質問です。ラジオネーム、乗りたくて×2震える さんから頂きまし
た。 DJラッキーチェン、小早川先生、こんばんは。いつも楽しく拝聴しています。
男性(彼氏)の気持ちについて聞いてみたいので、勇気を出して投稿しました。
先日、私の彼氏が買った車の待ちに待った納車日だったのですが、
小早川:
新車ですかね。
私:
んー、新車か中古かは言及されてないですね、はい。…納車日だったのですが、
彼が車を取りにいく途中で、私にその旨を連絡してきました。
しかし、その段階では、一緒に行こうなどとの誘いはありませんでした。
小早川:
ほう。
私:
彼が言うには、仕事でお世話になっている方が同じく新車を楽しみにしてくれていて、
小早川:
あ、新車だったんだ。
私:
そうみたいですね、はい。…楽しみにしてくれていて、その方が今日納車の時に
来てくれるかもしれない、とのことでした。その前に彼女の私を誘ってくれないの?
と内心に思ったゆえの私の機嫌の悪さを察してか、その人と会った後に合流す
るかどうか尋ねられましたが、私は初めから誘われなかったことに苛立ち、断りまし
た。
小早川:
ほう。
私:
彼もまた、私の態度を理不尽に思い気を悪くしたのか、約束をしていた新車の写
真も送ってくれず、しばらく何の連絡もありませんでした。
小早川:
写真…そんなにすぐ現像できなかったんじゃないかな。
私:
いえ、きょうびスマホかなんかで撮って送るんだと思いますけど…はい。
…えー、しばらく何の連絡もありませんでした、と。
ここで質問なのですが、男性は、新車の助手席に初めに乗せるのは自分の彼女が
いいと思うものではないですか?
なんだかそのことがあって、私は自分が彼から大切にされていないのではないかと思えて仕方がありません。
私が子供すぎるでしょうか?
DJラッキーチェンも女性なので、私の気持ちわかってもらえますか?
そして先生には、男性としてのお気持ちを聞かせて頂けたらうれしいです。
…はい。ですって。
小早川:
ふうむ。
私:
そうですね、なんだかちょっと、可愛らしくも思える内容ですけど、先生はズバ
リ男性として、いかがでしょう。
やっぱり助手席の”乗りぞめ”は彼女や奥さんが良いものですかね?
小早川:
うーん、そうだなあ。
私:
はい、どうですか?
小早川:
僕はねえ、助手席どうのこうのっていうより、まあ女性に乗ってもらえたら嬉しいよね。
私:
あ、車に、ということですか?
小早川:
いや、夜。夜の話よ。
私:
ああー、はい。でもそれだと全然答えにならないので、助手席に関しては、どう
お考えですか?
小早川:
そうね、まあ、価値観の違いだね。
私:
きゅうーに、誰でも言いそうなことおっしゃいましたね。
小早川:
そうね、まあもし、僕とラッキーが付き合ってたとするよね。
私:
はい。絶対ありえませんけどね。
小早川:
そう、それで、仮にここに置いてある普通のボールペンが、僕にとってはこよなく大事
なものだとしますね。
私:
はい。
小早川:
でもまあこんな大量生産のペンなんて、ラッキーにとって、大抵の人にとっては
まったく、何の思い入れもないペンなわけだ。
私;
そうですね。ただのペンに思い入れがあるのは先生かピコ太郎かでしょうね。
小早川;
そんな中、ラッキーがメモか何かしようとして、ちょっと借りますなんてこのペ
ンを使うとする。でもって僕は”ちょっと!”てなる訳ですよね。
私:
自分の大切にしているものを軽々しく扱われたら、そうなりますね。
小早川:
そう、でもラッキーはこれが僕の大切なペンということを知る由もなかった。
見たままに、どこにでもあるただのペンだと思ってるからね。
私:
そうですね。
小早川:
じゃあどうしたら良いかって言うと。僕は宣言しとくべきでしたね。
このペンにはこんないわれがあって、僕がとっても大事にしているものなんだと。
私:
ほう。
小早川:
要するにね、例えば100人中、2人しか価値を見出せないものを、あとの98人が
無下にしたところで、いっくら価値がわかる2人とはいえ、その2人が異端とされる
のが大抵ですよ。
私:
ふうむ。
小早川:
価値のわからない98人が慮ればいいじゃないかと言う風になるかもしれないけど、
悲しいかな、少数のほうが歩み寄るのが賢明となることが多い。
この安物のペンの場合、これが自分にとって価値のあるものだと宣言するということ
ね。
私:
はい、なるほど。それで、助手席の場合は。
小早川:
うん、世間の持つ助手席に対しての価値観は、きっと僕より一昨日の白川先生の方が
詳しいと思うけども、なんかこう、新車だ納車だって言って、その助手席の一等を
狙ってたなら、彼に言っておくとよかったかもね。
”初めに助手席に乗るの楽しみだなあ”みたいなことを。ハートの絵文字なんかも、
くっつけたら良いんじゃないの?
私:
ああ、そうかもしれませんねえ。でも彼の方も、なんていうか、気遣いみたいなものがあっても良さそうですけどね?
小早川:
気遣いをしてほしい、と請われてからする気遣いは、もはや欲されているはずの心からの気遣いじゃなくなっちゃうからね。~してくれると思った、あんな風にしてくれると思ってた、ていうのはもう、ファンタシーの世界ですよ、なんて言うか、独りよがり。それは相手の気遣いのなさというだけじゃなくて、自分の傲慢さていうのも問題に加味しないといけなくなる。
いわずもがなのツーカーの仲っていうのを過信してあぐらをかいてると、こわいですよ。
私:
なるほど。
小早川:
他人と生きていくっていうなら、少なくとも最低限譲れないところや主張ってい
うのはお互いに明らかにしておくのが安心ですよね。
そこから納得だとか、反発もあろうし。それで初めて、すり合わせていこうだとか、食い下がってみようだとかって。
そういう労力は、必要に迫られれば惜しんでいられませんよ。
私:
だんだん、話に実がついてきましたね。
小早川:
信号だって、我々赤で止まりますけど、それはずっとそうやって教えられてきて、
今や意図せずとも身についているからです。闘牛だったら走り出しますよ、
きっと。まあ要するに、思うな、当たり前だと。親と助手席。てことなのかな。
私:
倒置法の無駄遣いですね。はい、ではそろそろ次のコー…あ…
小早川:
ん?
私:
あ…くしゅん!
小早川:
花粉症?
私:
しつでいしばした。ちょっとそこのティシューを…
小早川:
ちょっと!
私:
へ?
小早川:
それは母の形見の鼻紙なの。
私:
げ。